一六七〇年、イングランド国王チャールズ二世の特許によって設立された「ハドソン湾会社」は、現在のカナダ北部、ハドソン湾周辺に広大な領土を有し、ヨーロッパで珍重された毛皮を求めて、西へ西へと交易網を拡大した。毛皮交易は、一八世紀後半には「ゴールデン・ラウンド」と呼ばれる世界規模の商業ネットワークにまで発展する。自然環境に依存するこのユニークな商品を扱うため、ハドソン湾会社はどんな経営システムをつくりあげたのか。またカナダ先住民は、毛皮の捕獲・加工・運搬者として、この交易にいかに関与したのか。そして仏・米・露との激しい毛皮獲得競争は、近代国際秩序にいかなる影響を与えたのか。「知られざる世界商品」が照らしだす、北方からの世界史。
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