北米先住民・ズニ族は、人類学者たちにとって、永いあいだ大きな謎の存在でありつづけた。その身体的、言語的特徴が周辺の諸部族と際立って異なり、類縁関係が認められなかったのだ。かれらは一体何者で、どこからやって来たのか。本書は、この問いに極めて大胆な仮説を提示する。文化、身体的特徴の類似、考古学的遺物の存在などから、室町時代に日本人が太平洋を渡り北米大陸に到達し、原ズニ族に文化変容を与えたのではないか、と。形質人類学、海洋学、考古学、言語学などの成果を採用しつつ、文化人類学のみならず、人類の移動史に大きな発想の転換を促す、知的刺激に満ちた書。本邦初訳。
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