ヒトの子どもは聞いた言葉を単に真似ることによって話せるようになるのではない。無意識のうちに文のパターンを知り、文法を心(すなわち脳)のなかに作らずにはいられないから、言語を身につけることが可能なのだ。さらに、音楽、視覚、思考、文化など人間知性の他の領域に目を向けても、言語習得に見られるのと同様の能動性を見出すことができる。ヒトは誰でも言語を話し、理解する。これは明白な事実である。しかし、だからといってそれを説明するのも簡単であるわけではない。著者は本書で、私たちが言語をもつための必要条件をじっくりと検討し、そこから得られるヒトの性質についての深い洞察を示している。
「BOOKデータベース」より