この本は、21世紀の中頃までに100億人に達しているだろう地球の住人を、"いかにして最もよく養うことができるか"という疑問に向けられている。バーツラフ・スミルは、人間の創意工夫が、生物圏の本来の姿を修復できないほど損傷することなく、すべての人々の健康で活気のある生活を支えるために十分な食料を生産することができるかどうかを問うている。この本は、農業から収穫後の損失や加工、食べたり、食べ残したりするまでの完全な食料循環を考慮しているという点で、世界の食料事情に関するその他の本とは異なっている。科学的手法をとっているスミルは、広範に及ぶ飢餓が切迫しているという破局論者の見解も、また大きな人口は人間の無限の相違工夫の源であるとして歓迎している「豊穣の角」信奉者の見解も支持していない。彼は、いかにしてわれわれは現存する資源をよりいっそう効果的に利用することができるかを示しており、そして、もしわれわれが農業の効率を上げ、廃棄物を減らし、食事を健康的なものに変えていくならば、将来の必要量は、われわれが予期しているほどの大きなものではないことを示唆している。
「BOOKデータベース」より