光の中に誕生し、光の中で成長しつつある子どもたちは、光を体内に吸収し、それぞれの「生きる悩み」によっていくらか歪められているとはいえ、あくまで透きとおったプリズムによってそれを分光し、画面にそのスペクトルを表出する。われわれはそれを児童画とよぶ。本書はその児童画から本体のプリズムの構造を探知した帰納経過を説明し、このプリズムの特性と機能を、演繹的方法を用い、精神分析学的に、あるいは発達学的に取り扱った。さらにそれが人間をとりまく環境と現象を理解するための重要な鍵としての役割を果たすことを、社会学的にあるいは倫理学的にのべたものである。
「BOOKデータベース」より