いまから約4000年前、イヌ・ブタ・ニワトリの家畜3点セットやタロイモの苗など、生活必需品をカヌーに積み込んで、東南アジアを船出した人々がいた。彼らは巧みにカヌーを操って海流に乗り、ハワイ、トンガ、フィジー、サモアなど、無人だった太平洋の島々にたどりつくと、そこに住み着いた。彼らは森林を切り開いて畑を作り、花の咲く木を植え、持ち込んだ家畜を育てた。私たちを魅了する、豊かでのどかな南の島の暮らしは、島本来の自然を破壊したり変えたりしながら、長い時間をかけて形づくられたのだ。独特の美しい文様をもつ「ラピタ土器」、ビーズの首飾り、魚や動物の骨、石斧や貝斧など、発掘で見つかる遺物が再現する、「南方楽園」の文化と社会。
「BOOKデータベース」より