身近な近・現代文学でも、多くの作家が多かれ少なかれ障害者を扱った作品を残している。また、自らも障害を負った作家たちも、それぞれに珠玉の作品を残している。それらは個々の作家の障害者観を示すとともに、その時代の社会一般の対障害者観をも如実にうかがわせるものでもあるのだ。正規の歴史におそらく現われることもないであろう、障害者が社会からどのように見られどのように遇せられていたのかが、明確にうかがえるのだ。そうした障害者の実生活や社会や家庭内で受けなければならなかった処遇を、時代の変遷に絡ませて見捉えるという視点で、種々の文学作品を読み解く。
「BOOKデータベース」より