佐藤正英 著
かつて、隠遁とは世俗世界を離脱して辺境に赴くことであった。そして、その背後にはもう一つの世界の存立が予感されていた。原郷世界である。原郷世界とは、人びとが本来そこに在るべきはずの世界であり、自己の生の究極の拠り所とは何かの問いに対する答えてして存立した。隠遁とはまさに、その原郷世界を目指すことに他ならなかったのだ。西行の隠遁を中心に考察される本書は、原郷を失って久しい現代人に、そこに近接する通路を示す。
「BOOKデータベース」より
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