松下幸之助は経営の神様であるばかりでなく、部下の叱り方、育て方の"神様"でもあった。いや、それだからこそ、「経営の神様」になれたといってもよい。神様の叱り方は、いわゆる"教科書"どおりの叱り方ではない。「起承転結」がキチンとととのった、ルールどおりの叱り方とはほど遠い。問題の本質だけを、ホンネで指摘したのだ。そして、神様に叱られた人は、一人の例外もなく、後々にまでその叱られたことを感動的な思い出として持っている。「その日から、自分の生き方が一変した」とさえ言い切っている。人前で"全力集中"で叱りつけた部下が「気づいて」くれたことに涙する神様も幸せなら、親以上の遠慮のなさで叱られ「人の道、仕事の道」を叩き込まれた部下もまた幸せである。この本は、そんな神様の、現代に生きるわれわれへの「人生指南書」の決定版である。
「BOOKデータベース」より