本書は著者が1992年ごろからの6〜7年間、四川省東部の農村において行った、人類学的フィールドワーク(集中調査)の詳細な研究報告です。これまでに、この地域における本格的な調査報告がほとんどなかっただけに、本書は中国はもとより、日本をはじめ海外の学界を裨益するところが、すこぶる大きいと言えるでしょう。しかも、この調査地は、現在、建設中の長江上流域の三峡ダムに近いところです。この地域は、今後の社会・文化的な変容が予想されているだけに、著者が本書において提起している社会=文化人類学的な諸問題のもつ意味は少なくないものです。
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