都道府県は戦後改革によって完全自治体になったとされている。しかし、はたしてほんとうにそうであったのか。都道府県の執行機関は国の主務大臣に代わって市町村の事務事業の指揮監督に幅広く従事してきた。都道府県はその業務の大半において国の事務の下請け機関だったのであり、市町村から見れば都道府県庁はミニ霞が関というべき存在であった。この体制に大きな変革を迫るのが機関委任事務制度の全面廃止である。それは、国と都道府県の関係を変えるだけでなしに、都道府県と市町村の関係についてその抜本的な再編成を求めている。戦後改革で未完に終わった都道府県の完全自治体化をさらにもう一歩推進しようとしているのである。この一事を種々の角度から丹念に、かつ執拗に解説するのが本巻の狙いである。
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