迅速かつ柔軟に尿の量と成分を変えるために、腎臓は2段階で尿の生成を行っている。糸球体での濾過と尿細管での再吸収・分泌である。糸球体は精緻な濾過装置で、大量の血流と高い血圧を利用して濾過を行い、循環系との関連が深い。尿細管はいくつものセグメントに分かれ、それぞれに特有の細胞が個性的な輸送特性を持っている。糸球体と尿細管といういわばミクロの器官がぎっしりと詰まり、互いに協調して尿の生成という機能を実現しているのが腎臓である。この腎臓という臓器の面白さ、その広がりや深さが、学生諸君に少しでも伝えられれば、著者として何よりの喜びである。
「BOOKデータベース」より