総合科学的人間研究によって明らかになったこと、および、筆者が意図的に明らかにしたことは、一つは、男性の攻撃性が本能であること、したがって、男性に対する対処は深謀遠慮を要するということであり、いま一つは、男性社会は男性の自尊心を軸にして動いているということである。男性が自尊心を高く維持したいという欲求を持ち、その実現のために懸命に努力するところから、発展が生まれると同時に、競争や争いや戦争が生じる。そして、発展と競争、争い、戦争が生じるのを生理的に下支えするものとして、男性の攻撃本能がある。それゆえ、男性は、往々にして、大変危険な存在となる。これまでの歴史における残酷性はこのようにして生じた。そのことを本書で何よりも伝えたいのである。
「BOOKデータベース」より