生態学的歴史観(生態史観)にたつとき、「世界の歴史」ないし「歴史における文明」を、どのように理解することができるか。多くの文明論が、西欧を尺度にして、非西欧諸国の位置を比較してきた。しかし、その基準軸をアジアに、日本に移動させて世界を見たらどうなるのか。せめぎ合う民族と国家の時代、転換期の世界の歴史は、どのように捉えられるのか。日本と世界の現実を見据え、現代世界の解読をめざして、思索を続ける梅棹忠夫は、ひとびとの暮らし、社会と文化の総体としての文明、それらに根ざす生きた現実を、積年に亙る踏査成果から描出し、歴史と文明を読むための"手がかり"を提示する。現代日本を代表する独創的思想家による世界史フィールド・ノート。
「BOOKデータベース」より