本書は、ファン・ゴッホの没後1世紀の間に生じたさまざまなできごとを、広い文化的、社会的視野から捉えようという試みである。美術、文学、批評の領域は言うまでもなく、映画、演劇、オペラなどの上演芸術、さらには、美術館、贋作、コレクター、アート・マーケット、コマーシャリズムにいたるまでの領域をとりあげ、ひとリ画家の作品や神話が、その後の人間のなかに、社会、文化のなかにどのように生きてきたか、そして今日その神話がどのように解体され、また、あらたに創りあげられようとしているかをここに記録しようと思う。
「BOOKデータベース」より