肩に突き刺さるような視線、それが多木が"敵意"を意識した最初だった。一流商社マンにとっては、ライバルは社外だけとは限らない。出世を競う同僚の中にも敵はいるかもしれない。あるいはまた、親類縁者の中にとも…。多木が周辺の調査を依頼したのとほぼ同時に、異常事が起きた。彼が車にはねられそうになり、身重の妻を何者かが踏切で突きとばそうとした。"敵意"が明確な形をとりはじめたのだ。そして、ついに決定的な事件が起きた。多木と対立する上司が不審な死をとげたのである…。サスペンス+企業小説の力作。
「BOOKデータベース」より