極東の島国で資源にも乏しい日本は、「教育」を半ば国民的な「宗教」として国力を築いてきた。ところが今日、いじめや学力崩壊によって、その「教育」が壊れつつある。背景には社会的国民的紐帯の解体という、より深刻な問題が横たわっている。日本人を日本人たらしめた教育とは、どのようなものだったのだろうか。日本を教育したといえる、松下村塾の吉田松陰、慶応義塾の福沢諭吉、木曜会の夏目漱石、戦後日本人に巨大な影響を与えた司馬遼太郎を例に、彼らの言説と行動の教育作用の分析をとおして、その問いに答える。
「BOOKデータベース」より