前回の学習指導要領改訂で誕生した生活科を推進し、今回(平成十年十二月告示)での総合的な学習の誕生にもかかわり、説明普及で全国からお声が掛かる中野重人氏と、逆説も時には有効と、あえて総合的な学習に異を唱える、社会科教育にこの人ありと聞こえた目賀田八郎氏と今日的教育論をたたかわせたら何が見えてくるか。対話の内容はいずれも至論である。お互いの求めるところは同じでも、その迫り方に違いがある。「今の学校を変えなければならない」という主張と「小学校は、既に変えられてきている。これ以上いじれば崩壊してしまう」という主張がガップリ四つに組んで丁々発止とやり合う。妥協はない。お互いに正しいと信じる意見が時には激しくぶつかる。激論・駁論である。それぞれの発言は相手を納得させようとするのではなく、これは読者へ向けた討論者のメッセージである。読者諸賢はどう受け止めるのか。ぜひこの討論に参加してもらいたい。混迷の学校教育、いや社会全般にかかわる問題、この国の将来を真剣に考えていかなければならないときではないのか。
「BOOKデータベース」より