家族はその存立のために国家への依存をますます拡大してゆきます。他方では、家族はその存立にくわえられる国家による介入にいっそう反発するようになります。この二つの動きは矛盾しています。しかし、それらはいずれも現代が必然的にした傾向です。われわれは、一方を理由にして、他方を拒否するというゆきかたをとる訳にはゆかない。この矛盾をあえてそのまま引きうけて、現代における家族と国家の関係を考えてみよう。この最終的かつ根源的な問題意識にもとづいて、本書に収録された各論文をとおして読み、考えてください。
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